第36回キッズ・ブック・スペース【お月さまの絵本】@国立を開催しました。
親子の時間は、『おつきさま こっちむいて』『つきよに…』『おつきさんのき』などの読み聞かせとわらべうたの手遊び。
ジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』でも歌われる♪ひとやまこえて♪では、手でキツネとタヌキを作り、自分の好きな食べ物を食べているタヌキさんを想定して遊びました。
♪十五夜のおもちつき♪でお餅をついたら、♪もちっこやいて♪で好きなものをつけて「うまかろう!」と食べます。
子どもの時間の「作って遊ぼう!」では、紙皿を利用した「ひとやまこえて たぬきさんときつねさん」を作りました。
大人の時間は、「大切にしたい日本の行事」というテーマで、お月見の楽しみ方を紹介した絵本を読んだり、月の民話などたくさんの月の絵本をご紹介しました。
テーマ絵本の『おやすみなさいおつきさま』では、しっとりした読み聞かせと、絵の中に潜むマザーグースのお話。
マザーグースを知っていると、海外の絵本の楽しみ方がさらに広がります。
♪ひとやまこえて♪
ひとやまこえて
ふたやまこえて
みやまのたぬきさん
たんたんたぬきさん
あそぼじゃないの
いまはごはんの まっさいちゅう
おかずはなあに
うめぼしこうこ
ひとくちちょうだい
いやいやしんぼ
赤松先生が、右手にキツネ、左手にタヌキを付けてお手本を見せてから、みんなも手でキツネとタヌキを作って一緒にやりました。
キツネは簡単だけど、タヌキは人差し指と小指を丸めるので、難しい!
「うめぼしこうこ」の部分を、みんなが好きな食べ物を言って繰り返します。
中には、「カフェオレとフレンチトースト」なんておしゃれな物を食べるタヌキさんも。
自分の好きな物と結びつけて、何回も繰り返すことで、ちゃんと覚えて家でも遊べるかな?
♪十五夜のおもちつき♪
十五夜の おもちつき
ぺったん ぺったん ぺったんこ
おっこねて おっこねて
おっこねおっこね おっこねて
とっついて とっついて
とっついとっつい とっついて
シャーン シャーン
シャンシャンシャン
シャーン シャーン
シャンシャンシャン
シャンシャンシャンシャン
シャンシャンシャン
一人でやるのは簡単な手遊びも、二人で組んでやる難しいバージョンは大変です。
相手のリズムにつられないよう、最後の「シャンシャンシャンシャン シャンシャンシャン」ができたかな?
♪もちっこやいて♪
もちっこやいて
とっくらきゃしてやいて
しょうゆをつけて食べたら
うまかろう
「しょうゆ」を「あんこ」「きなこ」「キムチ」など好きなものにアレンジして、「うまかろう」とみんなで食べました。
実際には何も食べなくても、おいしいものを食べた気分になる、ということで、想像力が育つはず。
■子どもの時間■
《作って遊ぼう》では、♪ひとやまこえて♪のタヌキさんとキツネさんを作りました。
小さい子は、タヌキとキツネに色を塗って、紙皿に貼って、山を描きます。女の子はピンクの山を描きました。
小学生は、色を塗ったら、タヌキとキツネを切り抜きます。山だけじゃなく、食べ物も描きたいということで、アイスクリームとこんにゃくを描いてました。
今年は、9月27日(日)が十五夜です。
近所でススキを取ってきて、お月見団子を作って、芋類や秋の果物を飾って、月を眺める、という風習は、都会では難しくなってきました。
昔ながらの三方に手作りのお団子を飾って、秋の七草や果物や野菜を揃えて、となると大変ですが、「今日は十五夜だから」とちょっと意識して家族で月を見上げてみませんか?
『おつきみうさぎ』や『こんやは おつきみ』には、お月見団子の作り方ものっています。
子どもも大きくなってしまうと忙しくなって、家族みんなでお団子作りは難しくなってきます。
小さい頃がチャンスと思って、チャレンジしてみては?
『おつきさま こっちむいて』は、【幼児絵本ふしぎなたねシリーズ】の一冊です。年少児の科学的な興味を引き出す内容で、子どもが月を見上げて不思議に思う情景が描かれています。
『ひるまのおつきさま』は、【かがくのとも】の一冊で、年長向けに月を解説しています。
科学的な内容を解説した絵本は、大人でも「へーそうだったんだ」と興味を引き出されるものも多く、馬鹿にできません。
子どもに質問されて困ったときも、科学絵本を探すと、大人も子どもも一緒に納得して学べます。
『太陽と月になった兄弟』はボリビア民話。
『お月さまをのみこんだドラゴン』はフィリピン民話。
『おこった月』は北アメリカ先住民族の民話。
『月の姫』は『竹取物語』を元にしたお話。
世界各地に、いろいろな月のお話があって、民族ごとの月への畏敬の念が感じられます。
このような絵本は、幼児にはまだ難しく、小学生が読んでほしい絵本ですが、小学生になると、本人も大人も絵本を読みたがらなくなるのが残念なところ。
小学生になって、世界に視野が広がり始めた時期にこそ、世界の民話を手に取ってほしいものです。
最後に『おやすみなさいおつきさま』を、しっとりとした読み聞かせ。
ウサギの子が、7時にベッドに入り、部屋の中の一つひとつのものに「おやすみ」と言って、1時間かけて眠りにつくという、詩的な絵本です。
日本語では、風船とか、ブラシとか、おかゆとか、唐突な物が並んでいて不思議な感じを受けます。
けれど、英語では韻を踏んでいるんですね。
kittens-mittens,toyhouse-mouse,brush-mush-hush,bears-chairs,clocks-socks,baloon-moon,etc.
『おやすみなさいおつきさま』に二枚の絵が出てきますが、「月を飛び越える牛」の絵は、マザーグースの"Hey
Diddle Diddle"という歌が元になっています。
ネコとバイオリン、月を飛び越える牛、スプーンと駆け落ちする皿など、これも日本語では意味不明なものが並んだ歌詞ですが、とても有名なようで、絵本以外にも海外の様々な作品に出てきます。
ネコと手袋(kittens-mittens)という組み合わせも、マザーグースの"Three little kittens"が元になっています。
もう一枚の「3びきのクマ」の絵は、イギリス民話からきています。
女の子が3びきのクマの留守宅に入り込んで、おかゆを食べ、椅子を壊し、ベッドで寝てしまう、というお話で、椅子やおかゆは、韻を踏んでいるだけではなく、お話の引用もあるのですね。
『ゆかいなゆうびんやさん』の中にも、マザーグースや「3びきのクマ」などの民話がたくさん出てきます。
絵本だけでなく、映画や小説やヒット曲など、マザーグースは至るところに引用されていて、知っていると、隠れた意味がわかったり、新たな面白さが発見できたりします。
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