〈19〉【くだものの絵本】@東高円寺

第19回キッズ・ブック・スペース【くだものの絵本】を開催しました。

第一回出張KBS@東高円寺の会場は、おうち教室「ゴーゴーハンモック」で、初の満員御礼でした。

 

デーマは、【くだものの絵本】 。

2ヶ月~9歳と幅広い年齢層の参加者で、初めての方が多かったけれど、積極的に参加していただきました。

『くだものなんだ』のクイズ、実際のくだものを切った断面の確認、♪いちじくにんじん♪の手遊びなどで盛り上がりました。

 

大人の時間では、くだもののお話や、テーマ絵本『もものきなしのきプラムのき』に出てくるマザーグースについてご紹介しました。

多くの方がマザーグースに興味を持たれたようです。

 

■親子の時間■
今回は、初めての参加者も多かったので、赤松先生の自己紹介と、おさるのモンちゃんの紹介から。

モンちゃんは、小4のお兄ちゃんから拍手で迎えてもらいました。

♪あなたのお名前は♪では、みんなはっきり自分の名前と年令が言えました。

 

 

最初の絵本は、『くだもの』。

 

くだもの (福音館の幼児絵本)

 

すいかは、切ってお皿に載せて「さあ、どうぞ」

桃は、皮をむいて、一口大に切って「さあ、どうぞ」

梨やりんごは、皮をむいてくし型に切ってフォークにさして「さあ、どうぞ」

 

本物そっくりのおいしそうなくだものに、赤ちゃんから大人まで思わず手を伸ばしたくなる絵本です。

 

みんな、くだもの好き?

今のご本で、嫌いなものあった?

「みんな好き!」

「カキ嫌い」

「スイカ嫌い」

 

じゃあ、カキが好きな人?

クリが好きな人?

ミカンが好きな人?

イチゴが好きな人?

 

ミカンとイチゴが大人気だね。

 

今度は、同じくだものの本なんだけど・・・

 

『くだもの なんだ 』

くだもの なんだ (幼児絵本シリーズ)

 

これ何に見える?タイヤかなあ。
「ミカン!」

ミカンだと思う人?
タイヤだと思う人?

 

正解は・・・残念!レモンでした。

 

次は何だろう?ペンギンかな?
でもこの本は『くだもの なんだ 』だよね。

「カキ!」

カキ?カキって、こんな顔みたいになってた?

 

正解!カキでした。

 

今度は、何に見える?
「タマネギ」

「球根」

だから、この本は、く・だ・も・の!

タマネギや球根は、くだものだっけ?

「ナシ!」

 

ナシが当たり!

 

これ、何だろう?花火かな?
でも、この中にあるのは、く・だ・も・の、だったよね。

「ブドウ!」

えー、ブドウって、こんな花火みたいだっけ?

 

本当だ。ブドウでした!

 

これは何かな?金魚かな?
「メロン」

メロンかな?

 

バナナでした。

バナナを切ると、こんな風に見えるんだね。

 

これは?ネズミのシッポ?おじさんのヒゲかな?

でも、この本は、く・だ・も・の!

ちょっとむずかしいね。

大きいお兄さんはわかる?

「モグラの掘った跡」

だから、く・だ・も・の!

「答え、知ってるの?」

 

え?まあ、ねえ。

答えは、リンゴ・・・の皮でした。

 

これは、何だろうね?

「パイナップル」

「人間のからだ」

「恐竜の骨」

だから、く・だ・も・の!

ヒント!赤いものです。

「イチゴ!」

 

正解!イチゴでした。

 

 

最後は、たくさんのくだものが並んでいます。

何のくだものか、わかるかな?

 

パパイヤ。洋梨。

パッションフルーツ。

イチジク。

 

食べたことあるもの、聞いたことはあるけど食べたことないもの、初めて見たものなど、珍しいくだものがいっぱい。

いろんなくだものが、いっぱいあったね。

ちょっと、準備するから、待っててね。

「何それ?秘密道具?」

さっきの絵が本当か、確かめてみます。

 

これは?

「カキ!」

さっきの絵みたいになってるかな。

 

本当だ。ペンギンの顔みたいになってるね。

 

次はミカン。

いつもは皮をむいて食べるから、こんな風に切らないよね。

 

見て!このミカンはちょっとスジが少ないけど、同じだね。

 

こんどは、リンゴ。

上手にむけるかな~

先生だって、主婦歴ン十年・・・

あっ!切れちゃった!

 

やり直し!

今度は長~く向けるかな?

 

ほら!かわいいネズミのシッポと、長いのができました。

 

今度は、さっきのイチジクが出てくる歌です。

 

♪イチジク ニンジン

サンショに シイタケ

ゴボウで ホイ!♪

 

最初は、両手の人差し指から1本ずつ開いていって、最後にホイで拍手。

 

ママ達には、もっと難しくします。

片手はパーで、1本ずつ指を折っていって、

もう片方はグーで、1本ずつ開いていきます。

 

♪イチジク ニンジン

サンショに シイタケ

ゴボウで ホイ!♪

 

ママ達、ちゃんとできてるけど、真剣過ぎて顔が怖い!

 

今度は、また両手同じにするけど、イチジクを食べちゃいます。

食べたらなくなっちゃうので、言いません。

 

♪○○○○ ニンジン

サンショに シイタケ

ゴボウで ホイ!♪

 

 

次はニンジンを食べちゃいます。

サンショ、ゴボウも食べちゃいます。

順番に、歌わない部分が増えていきます。

最後は、ホイも食べちゃいます。だから拍手もなし。

両手がすれ違って☓にします。

 

パチッ!
あれ~、誰だ~、バッテンのはずなのに、音がしたよ。

♪イチジク ニンジン♪をいろいろなパターンで遊んだ後は、ゴボウの次もある絵本です。

 

『いちじくにんじん』

いちじく にんじん (0.1.2.えほん)

 

♪いちじく にんじん

さんしょに しいたけ

ごぼうに むぎ

なす はす

きゅうりに とうがん♪

 

今度は、ちょっと長いお話。『キウイじいさん 』

キウイじいさん って、どんなおじいさんかな。

「キウイの味がするおじいさん」

キウイの味がするの?

おじいさんが?

どうかな~

『キウイじいさん 』

キウイじいさん

 

キウイの好きなじいさんが、キウイの苗を庭に植えた。

毎日水をやっても、ひょろひょろ伸びて、花が一つ咲いて、落ちた。

腹を立てたじいさんは、キウイのまわりに穴を掘り、毎日生ゴミを埋めた。

そしたら、じいさんの気づかぬ間に、ドンドン伸びた。

どこまでも伸びるキウイは、葉を茂らせ花をたくさん咲かせ、実をつけた・・・

 

おじいさん、夢見てたんだって。

「何で?」

何でだろうね。不思議だね~

『くだものぱっくん 』

 

ママと赤ちゃんのたべもの絵本 (3) くだものぱっくん

 

イチゴ、バナナ、ブドウ、リンゴ、を動物達がぱっくんと食べます。

ミカンをぱっくんと食べるのは・・・

 

おいしいくだものは、モンちゃんも、ゴリラも大好きなんだって。

 

♪くいしんぼうのゴリラ♪

 

♪くいしんぼうのゴリラが

バナナを見つけた

かわむいて かわむいて かわむいて 食べちゃった   

もぐもぐもぐもぐ あーおいしい!♪

 

ゴリラだけじゃなくて、ウサギもくだものが好きなんだって。

 

♪くいしんぼうのウサギが

バナナを見つけた

かわむいて かわむいて かわむいて 食べちゃった   

もぐもぐもぐもぐ あーおいしい!♪

 

もうすぐお正月が来るけど、獅子舞って知ってる?

この獅子舞は小さいけど、本物の獅子舞はもっと大きな頭で、中に人が入って踊るの。

そして、パクっと頭を食べてもらうと、風邪を引いたり、ケガをしたりしないで、一年間元気でいられるんだって。

■子どもの時間■

《作って遊ぼう》は、『ぱくぱく ぱっくん』。

本当のお獅子は怖いので、ウサギかクマを選んで、かわいい獅子舞を作ります。

最初に、ウサギかクマの好きな方を選んでね。

女の子はピンクのウサギ、男の子はクマが人気だね。

好きなように、ウサギとクマに目や鼻を描いてね。

顔が描けたら、パクパクする口に貼ります。

顔の上半分と下半分がつながるように貼ったら、口を閉じたときかわいい顔になります。

手に持って、パクパクっとできたね。

 

いろいろな顔のウサギとクマができました。

■大人の時間■
大人の時間は、《くだものの絵本からみえるもの》というテーマで、くだものに因んだお話をしました。

 

テーマ絵本『もものきなしのきプラムのき 』には、イギリスで馴染み深い童話やマザーグースのキャラクターがたくさん登場します。

元となった歌やマザーグースが使われている絵本もご紹介しました。

今回は【くだものの絵本】ということですが、“くだもの”をキーワードにした絵本は多くありません。

“りんご”、“みかん”、“かき”などで探すとたくさん見つかるのですが、その中では数少ない“キウイ”の話を取り上げてみました。

 

大人は、ああ、夢オチなのか、と納得できますが、小さな子ども達はラストでしばしポカーンとしています。

何だったんだろう?結局どうなったの?といろいろな疑問が残るようです。

でも大人も、どこからが夢だったんだろう?と考え出すとわからなくなります。

どこか不思議で面白いお話でしたね。

 

♪いちじくにんじん♪は、各地域に伝わる数え歌、手毬唄なので、いろいろな歌詞があります。

 

♪無花果(いちじく) 人参(にんじん)

 

山椒(さんしょ)に 椎茸(しいたけ)

牛蒡(ごぼう)に 無患子(むくろじ)

七草(ななくさ) 初茸(はつたけ)

胡瓜(きゅうり)に 冬瓜(とうがん)♪

 

 

♪紫蘇(しそ)

牛蒡に零余子(むかご)

七草 薑(はじかみ)

九念母(くねんぼ)に蕃椒(とうがらし)♪

 

無患子(むくろじ)というのは、何でしょう?

神社やお寺などによくある大木で、「子どもが患わない」という縁起の良い木だそうです。

 

赤松先生が、無患子の実を用意してきてくれました。

中には硬い黒い種があります。

これは、羽つきの羽の丸い部分に使われます。

羽つきは、無病息災を願う厄除けの意味もあるそうです。

♪いちじくにんじん♪は、♪かごめかごめ♪や♪はないちもんめ♪のような大掛かりな遊びでなく、赤ちゃんと二人でも簡単に歌って遊べるわらべうたです。

両手別々の動きをしたり、パクっと食べてその部分は言わない、などのいろいろなパターンもありますので、成長しても遊べます。

ぜひ、若い世代もずっと伝えていってほしい遊びです。

ある幼稚園の先生が『くだもの』を一年間読み聞かせした体験談は、絵本の力を感じました。

 

その先生が初めて勤めた幼稚園は、セレブな家庭が多かったそうです。

ままごと風景も、カップ&ソーサーで「お紅茶にしますか?コーヒーにしますか?」「どうぞめしあがれ」「いただきます」などの会話が聞こえてきました。


次の勤務先は、まったく環境の違う地域で、母役の子は料理をお鍋ごとテーブルに出し「ほら、できたぞ、食え」と言い、子ども役の子は無言で手づかみ、というままごとが普通に行われていたそうです。

 

絵本を読んでもらった経験も少ない年長児のクラスで、簡単な年少版の絵本から読み聞かせを始めたそうです。

その中の一冊が『くだもの』で、優しく、ゆっくり話しかけることを心がけて「さあ どうぞ」と1年間読んだそうです。

その結果、子ども達は、ままごとで「どうぞ」「いただきます」と言うようになったということです。

 

 

絵本は、マナーを覚えたり躾のために読んであげるものではありません。

けれど子ども達は、一年間絵本を読んでもらって、楽しみながら正しいきれいな日本語を聞き、マナーも身に付いていた、ということです。

 

大人のテーマ絵本は、『もものきなしのきプラムのき 』

もものきなしのきプラムのき (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

 

ほんをひらいて よくみてごらん

かくれているひと みつけてごらん

 

絵の中に隠れているのは・・・

 

親指トム

ハバードおばさん

シンデレラ

三びきのくま

かわいいぼうや

ボー・ピープ

ジャックとジル

魔女

ロビン・フッド

 

複雑な絵ではないので、隠れているキャラクターはすぐに見つかります。

ただ、童話の主人公は知っていても、日本人にあまり馴染みのないマザーグースのキャラクターがたくさん出てきます。

 

英語圏の人々にとっては、赤ちゃんの頃から聞いていて、大人になっても諺やジョークに使われるマザーグースは、誰もが知っています。

日本のお話だったら、桃太郎とか一寸法師とかかぐや姫が隠れているといった感じでしょうか。

親指トム、シンデレラ、三びきのくまは、イギリスだけでなく世界中で親しまれている童話ですね。

 

ハバードおばさんは、犬のエサを探すためにカップボードを覗きますが、空っぽだった、という歌から、「ハバードおばさんのカップボード」というと「まったくの空っぽ」を意味するそうです。

ハバードおばさんといぬ―マザー・グース (ミセスこどもの本)

 

かわいいぼうや(baby bunting)のお父さんは、赤ちゃんのおくるみにするためにウサギを狩りに行きます。

だから、三びきのくまは狩りをしていて、そばにウサギがいます。

もう一つの「ねむれ赤ちゃん」の歌では、木の上のゆりかごが風に吹かれて落ちてしまいます。

それで、綱が切れたゆりかごが川に落ちて、流れているのでしょう。

Hey Diddle Diddle and Baby Bunting (Illustrated) (Picture books for children) by Randolph Caldecott

 

ボー・ピープは羊飼いの女の子で、迷子の羊を探しています。
つば広帽子をかぶって羊飼いの杖を持った女の子として親しまれたキャラクターです。

映画『トイ・ストーリー』にも出ていて、主人公のウッディが好きなお人形でした。

 

ジャックとジルは、丘に水汲みに行き、転んでしまう、という歌があります。

ジャックとジルは、若い男女を意味するそうですが、ここでは兄妹のようです。

「どんなジャックにも似合ったジルがいるものだ」という諺もあります。

日本でいうと「われなべにとじぶた」ですね。

 

マザーグースで魔女の歌は見つからなかったのですが、魔女のようなおばあさんの歌がありました。

「おばあさんとネコ」という歌では、おばあさんがネコのトムを連れて、箒にまたがり月を目指して空を飛んでいきます。

もう一つ、箒で空のクモの巣を払うために、バスケットに入ったおばあさんが月より高く放り投げられる歌があります。

 

ロビン・フッドは、中世イングランドの伝説上の人物で、映画などもたくさん作られています。

“シャーウッドの森に住む弓の名手で緑の服を着た義賊”というイメージは、19世紀以降のお話からきているそうです。

マザーグースにも、ロビンと片腕的存在のリトル・ジョン(怪力の大男)の歌があります。

 

プラムパイには、ジャック・ホーナーがクリスマス・パイからプラムをつまみ出したという歌があります。

昔の役人が賄賂をパイに隠して渡そうとしたところ、パイを運んだジャック・ホーナーが途中で賄賂の権利書を横取りした、という話からできた歌だそうです。

 

日本でも親しまれている歌には、「十人のインディアン」「ロンドン橋おちた」「キラキラ星」「メリーさんの羊」などがあります。

 

マザーグースの歌は、何の脈絡もない言葉が並び、日本語で読むと意味かわからないものも多いのですが、英語の詩では韻を踏むことが大事なようで、声に出してゴロの良い言葉が並べられています。

 

「へい、ディドル、ディドル」という、とても親しまれている歌があります。

 

Hey, diddle, diddle,
The cat and the fiddle,
The cow jumped over the moon;
The little dog laughed
To see such sport,
And the dish ran away with the spoon.
 
へい、ディドル、ディドル
ネコにバイオリン
雌ウシが月を飛び越えた
それを見て子犬が笑ったら
お皿とスプーンが駆け落ちしたって

 

英語で読もうMother Goose―ベスト・セレクション56 (ラクーン英語読本)

 

ヴァイオリンを弾くネコ、月を飛び越えるウシ、手を取り合って逃げていくお皿とスプーン、などのモチーフは、映画や本や絵などによく使われていて、絵本にもたくさん取り上げられています。

 

『おやすみなさいおつきさま』の部屋にかけられている絵にもあります。 

おやすみなさいおつきさま (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

 

『もものきなしのきプラムのき 』の作者ジャネット&アラン・アルバーグの『ゆかいなゆうびんやさん』シリーズは、童話やマザーグースのキャラクターに手紙を配達するお話ですが、実際の手紙が封筒に入っています。

その手紙や絵の端々にもマザーグースが使われていて、お皿とスプーンも出てきます。

ゆかいなゆうびんやさん―おとぎかいどう自転車にのって

  

大判 ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス

 

最近は、若者の果物離れが問題になっていて、毎日200g果物を食べましょう、と推奨されています。

子ども達を見ていても、バナナのスジを取れなかったり、ブドウの種だけを口の中でよけて吐き出せないなど、上手に食べられない子が増えています。

 

高価な果物より、おかずに食費を回したい気持ちもわかりますが、できれば毎日食べたいですね。

サクランボ、ビワ、スイカ、ミカンなど、果物で季節を感じることもできます。

 

できるだけ、元の形も見せて、皮をむいたり、切り分けるところも見せて、「どうぞ」「いただきます」と家族で食べたいものです。

特別のことではなく、普段の当たり前の生活を、面倒がらずにきちんと実践することが、一番の教育だと思います。

 

『くだもの なんだ 』にも珍しい果物がありましたが、絵本で知って実際に食べてみるきっかけになる場合もあります。

くだものの絵本もいろいろあるので、図書館や本屋さんで探してみてください。

 

 

かにむかし (岩波の子どもの本)

 

かき (かがくのとも特製版)

 

二ほんのかきのき (こどものとも傑作集 16)

 

 

ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)

 

 

みかん (復刊傑作幼児絵本シリーズ)

 

三つのオレンジ―ミルクのように白く血のように赤い娘 (世界の昔話傑作選)

 

やまなしもぎ (日本傑作絵本シリーズ)

 

やまなし (画本宮澤賢治)