2013年10月19日(土)
第16回キッズ・ブック・スペース【木の実の絵本】を開催しました。
実際にいろいろな種類のドングリや松ぼっくりに触れながら、木の実の絵本を楽しみました。
大人の時間は、《拾って、集めて、調べてみよう!》ということで、実際のドングリと絵本を見比べながら、何の種類の木の実なのかを調べました。
ドングリや松ぼっくりを使った制作《ドングリ図鑑》は、子どもだけでなく大人も挑戦。
絵本の中だけでなく、実際に自然に触れて、季節感を感じ、創作意欲も刺激される時間を過ごせました。
■親子の時間■
今回、子どもの参加は四歳の男の子が一人だけ。
どうなることかと思いましたが・・・
いつもは最初のノリが悪く、眠ったフリや気のない参加をしている子が、先生を独占できて大張り切り。
♪はじまるよ♪の歌から積極的に参加し、忍者になったり、カニになったり、元気に動き回っていました。
『どんぐりどんぐり』
かあさんりすが、どんぐりを拾いに。
どんぐりはどこにあるかな?
ひとつ、ふたつ、みっつ、とみつけたどんぐりをかごに入れていきます。
画面のどこかに一つずつ落ちているどんぐり。
絵をジッと見つめて、かあさんりすと同じように探していると思ったら、りすより先に見つけて、素早く取って、
口にバクっ!
ねえ、今食べたでしょ?
どんぐり、食べちゃったの?
おうちに帰ったりすさん、みんなでどんぐり食べてるね。
どんぐりって、食べても大丈夫みたい。
先生もりすさんみたいに、どんぐり拾って来たんだ。
「知ってるよ。さっき見ちゃったもん」
えー、もう見ちゃったの?
さっきのりすさんのどんぐりはこんな感じ。
もっと大きいのや、まん丸のや、帽子がついてるのもあるよ。
こんなちっちゃいのも。
「あー、ここ」
それ、何が出てくるか知ってる?
「虫」
そう、虫。
どんな虫か、見たことある?
「ううん」
見たことない?
こんな風に、クニュクニュって出てくるよ。
今度は、これなあんだ?
「クリ」
そう、クリ。
クリのイガイガだけで、中味は残念。誰か食べちゃったみたい。
これはなんだ?
「ドングリ」
え~、ドングリ?
「ちがう、えーと」
〇〇〇〇〇〇
「松ぼっくり」
そう松ぼっくり。
え?松ぼっくりをコマにしてるの?
コマは、ドングリでしょう。
「回った!」
あ、回ったんだ。
『どんぐりひろい―くまくんのあき 』
くまくんが、どんぐりをいっぱい見つけました。
ひろって、ひろって、ポケットいっぱい!
ズボンの中も、長靴の中も、どんぐりでいっぱい。
あっと、つまづいたくまくんが転がっていくと・・・
最後にくまくんがお母さんに肩車をしてもらっているのを見て、すかさずお母さんの所に突進。
よじ登って、くまくんみたいに肩車をしてもらいました。
さっき、りすさんはドングリを食べてたけど、おさるさんは松ぼっくり食べるの知ってる?
おさるさんが松ぼっくりを食べる歌があるけど、知ってるかな?
♪まつぼっくり♪ (広田孝夫作詞・小林つや江作曲)
まつぼっくりが あったとさ
高いおやまに あったとさ
ころころころころ あったとさ
おさるがひろって たべたとさ
次は『きのみのケーキ』を読むはずでしたが・・・
『きのみのケーキ』
きのみのケーキ―もりのおくりもの2 (日本傑作絵本シリーズ)
その次に読む予定の絵本が気になって仕方がない様子。
じゃあ、そっちから読もうか、ということになりました。
ガオは、赤や黒や黄色の実でできてたね。
ここには茶色のドングリしかないんだけど・・・
(三個のドングリをくっつけて)「見て見て!チューリップ!」
あ、いいね。
先生は、ころころドングリ、細長ドングリって並べただけど、チューリップにするのはいい考えだね。
■子どもの時間■
赤松先生がせっせと拾い集めてきてくれた、たくさんの種類のドングリや松ぼっくりを、段ボールのかわいい額にボンドで貼りつけます。
ドングリの種類を調べて、それぞれのドングリのそばに名前を書いたシールを貼ると『ドングリ図鑑』になります。
でも、さっきのアイデアを活かして、チューリップのようにドングリを並べることにしました。
いつもは制作にあまり積極的ではないけれど、今回はお姉さん先生を独占できて、とても熱心に取り組んでいました。
大小のドングリを立体的に重ねたり、額縁に色をつけたり。
とても素敵な作品が出来上がりました。
■大人の時間■
お母さんも、個人面談のような感じで、子育ての不安を相談したり、スタッフの子ども達の話で盛り上がりました。
赤松・坂本共に三人の子どもがいて、同じ親から生まれたのに三人ともそれぞれタイプが違います。
子どもは、親と似ている部分も違う部分もあります。
何でこんな所だけ似ちゃったかな、と思うこともあるでしょう。
違う部分は、理解できずに戸惑うこともあるでしょう。
血がつながってるとはいえ、子どもは親とは別の人間です。
全てを理解できなくても、丸ごと受け入れてあげれば、道を踏み外して育つこともないと思います。
過ぎてみれば、子育てのほとんどのことが笑い話になる気がします。
子どもは、拾ったり集めたりすることが好きですね。
小石とかセミの抜け殻とか木の枝とか、集めてどうするの?と思える物を拾って大事にしていたりします。
目的があるわけではなくて、持ってるだけで嬉しいのです。
大人だって同じようなことがありますよね。
いつ作るかわからない手芸の材料を集めたり、好きなキャラクター物や文房具など、実際に使うとは限らないものを買ってしまったりします。
だから、大人にとってはゴミみたいに思えても、「こんなもの拾ってきて!」と即座に捨てたりしないでくださいね。
捨てる時は、子どもが忘れた頃に、そっと処分してほしいと思います。
保育者は、ドングリや松ぼっくりを見ると、何か作品にできないか、という興味で拾い集めたりします。
実際に幼稚園や保育園で制作に使うとなると、茹でたり、下準備したりと大変な思いをするんですけどね。
けれど子どもは、拾い集めた物で何かを作りたいわけではありません。
何かを作って、一瞬遊んでも、すぐ壊したり飽きたりします。
それよりも、拾ってること、集めてること、眺めてること、それだけで幸せなのでしょう。
ドングリを拾って箱にとっておいたら、虫が出てきて大変!という体験も大切です。
すべて先回りして予防してしまうと、何も知らずに大人になってしまいます。
ビニールに拾ってきたものを入れて放っておいたら、白いモノがいっぱいで「わっ!これ何?」というような体験は、一生忘れません。
『木の実とともだち』
動物たちと一緒に木の実を探しに森にでかけた女の子。
クルミ、ヤマナシ、ドングリ、アケビ、サルナシ、ヤマブドウ。
赤い実、青い実、黒い実。
たくさんの実を集めたら、何の実か調べたり、お料理したり、遊んだり。
でも、毒を持った実には注意!
さっき読んだ『どんぐりひろい』にしても、きちんとした絵本は、ドングリ一つとっても、種類が特定できるように描かれています。
子どもは、絵本のお話を楽しむと共に、本物そっくりの自然に出会えます。
実際の自然に出会った時、あの絵本の絵は本当だったんだ、と気づくかもしれません。
子どもと一緒に、ドングリを拾うとき、名前を知っていると楽しいですよ。
知らないと気づかないものも、知っていると目に止まって、見つけることができます。
ということで、たくさんのドングリと一緒に、見分けがつくように葉っぱも一緒に拾ってきました。
これから、このドングリが何という木の実なのかを調べます。
実の大きさ、形、色、殻斗の形、模様、葉っぱの形などから見分けることができる絵本がたくさんあります。
『探して楽しむドングリと松ぼっくり (森の休日) 』
拾ってきたドングリや松ぼっくりが、何の木の実なのか調べるのにぴったりの図鑑絵本です。
鮮明な写真で、ドングリと松ぼっくりが、種類ごとに解説されています。
ドングリの大きさ比較や、葉っぱと一緒の比較一覧なども便利です。
葉の裏表、殻斗(ドングリの帽子)がついた様子、ドングリだけの形と大きさもわかります。
『ひろってうれしい知ってたのしいどんぐりノート 』
最初の一覧で、どんぐりの仲間がひと目でわかります。
ドングリはブナ科の木の実です。
栗やちょっと形の違う実のブナやシイの実も、ドングリとは呼ばないけれど、ブナ科の仲間です。
どんぐりの歴史、食べ方、利用方法などもわかります。
ドングリの種類を調べた後は、ドングリと松ぼっくりを使った制作をします。
黒っぽいドングリ、緑っぽいドングリがあったり、殻斗(ドングリの帽子部分)だけが枝に残ったものがあったり、面白い素材がたくさんあるでしょう。
松ぼっくりも、葉っぱは枯れているけれど、枝付きのものや、大きいの小さいのと、いろいろあります。
素敵な作品ができましたね。
親子の作品を比べてビックリ!
大人と子どもは別々の場所で作ったのに、さすが親子!
ドングリの並べ方がそっくりでした。
『どんぐり』
北海道のミズナラの木の春夏秋冬。
秋、ドングリが落ちると、いろいろな動物が拾いに来ます。
拾ってすぐに食べてしまう動物と、運んで保存する動物がいます。
どんな動物が、どんな所に、どうやって保存したドングリが芽を出すのでしょう?
『ヒッコリーの きのみ 』
リスの子がヒッコリー(沢胡桃)の実を拾うお話。
大小様々なヒッコリーを拾って、冬のために埋めて隠しておきます。
「どこに隠したか、もうわからないよ」と言うと、
「探して食べるのがおいしいのよ」とお母さんは教えます。
雪に埋もれたヒッコリーを、お母さんと楽しく探しながら食べます。
春になると・・・
『とちのき』
家の前に立っている1本のとちのき。
芽を出し、ソフトクリームみたいな花が咲き、鈴のような実をつけます。
実が落ちると、とちもちを作るために、みんなで拾い集めます。
水につけて、お日様に当てて、保存します。
おいしいのかな?と食べてみると「ひえええ。しぶい!」
強いアクを抜くために、川の水につけ、灰につけ・・・
『どんぐり かいぎ 』
どんぐりは、たくさん実ができる年と少ししか実ができない年があります。
それはどうしてでしょう?
動物が増え過ぎて、食べ残しがなくなると、新しい芽は出てきません。
若い木が育たなくなって困った年寄りの木達が、会議を開きました。
動物達に、全部のドングリを食べずに残してもらうにはどうしたらよいのか・・・
ドングリの芽はどうやって伸びるのか、というお話がたくさんありました。
リス達は、習性としてやっているのでしょうが、程よい所にドングリを保存して食べ残します。
それが、自分達のためではなく、何世代も後の子孫達が食べるドングリに成長するのです。
木が育つには、何十年も何百年もかかります。
そんな自然を、人間は自分達の欲のために破壊しています。
何百年後の子孫のことを考えたら、もっと健全な世の中になるはずですよね。
小学生以上になると、親と一緒にドングリ拾いに出かけることもなくなってきます。
幼児の頃が、一番親子で自然を楽しめる時期です。
いろんな木の実を拾って、その実がなっていた木を見上げてください。
親子でおしゃべりしながら自然の中で過ごした記憶は、心の底に残ります。
大人になってから、その記憶が、健全な考え方を生むきっかけを作ってくれるかもしれません。
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