2013年5月11日(土)2時~4時にキッズ・ブック・スペース【ともだちの絵本】を開催しました。
1歳~小1の子ども達と、お母さん、お父さんがご参加くださいました。
絵本の中では、どんな友達がいて、どんな風に仲良くなっているのでしょう。
今回は、手遊びもたくさんあり、大人も参考になるいろいろな世界の友達の絵本も満載です。
■親子の時間■
最初の絵本は、エリック・カールの『ね、ぼくのともだちになって!』です。
表紙では、大きなゾウに小さなネズミが「ね、ぼくのともだちになって!」と言っています。
カーブした緑色の一本道の上を、小さなネズミが歩いていきます。
「ね、ぼくのともだちになって!」といろいろな動物に声をかけます。
最初のしっぽは誰かな?
「ライオン!」
おうまさんでした。
草を食べてて忙しそう。
「ね、ぼくのともだちになって!」
次は誰かな?大きなワニさん。
「ね、ぼくのともだちになって!」
今度の細長いものは?
「ミミズ?」
「ライオン!」
あ、当たり!ライオンでした。
「ね、ぼくのともだちになって!」
今度は緑色の足みたいなものが。
「カエル」
カエルかな?あざらしでした。
緑色だからカエルみたいだったね。
ネズミは、緑色の一本道に沿って進みながらいろいろな動物に声をかけますが、誰も友達になってくれません。
最後にネズミと出会って・・・
緑色の一本道は、曲がりくねって、まだまだ続いていきます。
最後に出てきたのは?
扉から裏表紙まで工夫がある絵本だと、改めて気づかされました。
今度は手遊びです。
(親指を中に入れて結んだ両手の)中にいるのは、だ~れだ?
(右手は)さくら山に住んでいるサアちゃん。
(左手は)もみじ山にすんでいるモミちゃん。
二人は仲良しなんだって。
今日はさくら山はいいお天気だから、モミちゃんのところに遊びに行こう!
ドアを開けて(右手を開いて)
おうちを出て(親指のサアちゃんが出てきました)
ドアを閉めて(右手を閉じて)
モミちゃんのところに遊びに行こうっと!
お山を登って谷を下って、丘を登ってモミちゃんのおうちに着きました。
ピンポ~ン。
「モミちゃん!あそぼ!」
残念!モミちゃんはお留守でした。
仕方ないのでサアちゃんはまた、丘を登って下って、また登って下って、おうちに帰りました。
おうちに帰ったら、ドアを開けて、おうちに入って、ドアを閉めました。
次の日・・・
「カギは閉めないの?」
指摘されてしまったので、
カギもガチャガチャ、閉めました。
次の日はもみじ山はいいお天気。
さくら山のサアちゃんのところに遊びに行こう!
ドアを開けて(左手を開いて)
おうちを出て(親指のモミちゃんが出てきました)
ドアを閉めて(左手を閉じて)
カギをガチャリ!
丘を登って下って、また登って下って、
「サアちゃん!あそぼ!」
ピンポ~ン。
残念!サアちゃんはお留守だって。ショボン。
その次の日、サアちゃんとモミちゃんは、また一緒に遊びたいな、と思いました。
サアちゃんもモミちゃんも、
ドアを開けて(両手を開いて)
おうちを出て(親指のサアちゃんとモミちゃんが出てきました)
ドアを閉めて(両手を閉じて)
カギをガチャリ!
丘を登って下って、また登って・・・
「あ!モミちゃん!」
「あ!サアちゃん!」
「一緒に遊ぼう!」
「うん、一緒に遊ぼう!」
二人は公園に行って、
ゆ~ら、ゆ~ら、ブランコしたり、
シューっと、滑り台をしたり
待て待て待て~、とおにごっこをしたり、
かくれんぼしたりして、いっぱい遊んだんだって。
「あ、もう夕方。おうちに帰らなきゃ」
「またね!」
「またね!」
二人はバイバ~イと挨拶をして、また丘を下って登って・・・
最後は、同じようにおうちに帰って、ママにお話をして「おやすみなさい」と終わります。
親指に顔をつけただけの簡単な指人形ですが、
一歳の女の子から小学生の男の子まで、夢中で見ていました。
四本の指を開いて閉じるだけでおうちを表現したり、
手を上下させるだけで山をいくつも越える風景を感じさせたり、
二本の親指を一緒に揺らしたり、動かしたりして遊ぶ様子を見せたり、
両手だけでお話の世界を作れることに驚かされました。
何度もドアを開けたり閉めたり、行ったり来たり、
という繰り返しも子ども達は大好きですね。
そして、最初は会えなくてガッカリしたので、
二人で出かけた時は、今度こそ会えるかも、という期待感が高まってワクワクしていました。
最近はあまり見られなくなった、子どもだけで遊びに行って帰って来る懐かしい風景が蘇りました。
みんなも、ピンポーンって遊びに行ったことある?
「ない!」
え~ないの?あるでしょう。
誰かお友達が来たみたいよ。
『ともだちがきました』
一本の木が立っています。
ことり、ちょうちょ、ふうせん、もぐら・・・次々とともだちが来ました。
歌を聴かせたり、一休みしたり、お話をしたり、お話を聞いたり・・・
木のところにたくさんお友達がきたね。
今度は、みんなにお手伝いしてもらう歌にしようかな。
みんな、両方のお父さん指出して。
♪お父さんが、かけてきて
♪お父さんが、かけてきて
♪曲がり角でぶつかった~
お前が悪いんだぞ!
お前が悪いんだぞ!
♪そこで二人はプンプンプン
今度はお母さん指。
♪お母さんが、かけてきて
♪お母さんが、かけてきて
♪曲がり角でぶつかった~
あなたが悪いのよ!
あなたが悪いのよ!
♪そこで二人はプンプンプン
今度はお兄さん指。
♪お兄さんが、かけてきて
♪お兄さんが、かけてきて
♪曲がり角でぶつかった~
君が悪いんだぞ!
君が悪いんだぞ!
♪そこで二人はプンプンプン
今度はお姉さん指。
お姉さん指だけ出すの、難しいね。
♪お姉さんが、かけてきて
♪お姉さんが、かけてきて
♪曲がり角でぶつかった~
あなたが悪いのよ!
あなたが悪いのよ!
♪そこで二人はプンプンプン
今度は赤ちゃん指。
♪赤ちゃんが、かけてきて
♪赤ちゃんが、かけてきて
♪曲がり角でぶつかった~
アブブブブ!
アブブブブ!
♪そこで二人はプンプンプン
今度は大勢! 全部の指ね。
♪皆さんが、かけてきて
♪皆さんが、かけてきて
♪曲がり角でぶつかった~
お前が悪いんだぞ!
お前が悪いんだぞ!
♪そこでみんなはプンプンプン
最初は両手を後ろに隠し、片方ずつ前に出します。
両手をぶつけて、一言ずつ文句を言って、
また両手を後ろに戻します。
子どもがケンカをしていたら、
♪○○ちゃんが、かけてきて
♪□□ちゃんが、かけてきて
などと名前を入れて歌ってしまうと面白そうです。
プンプンしているのがバカらしくなってきます。
みんなプンプン怒ってたね。
あ、みんなは怒ってない?大丈夫?
「電車でママに怒った」
あら~、ママに怒ったの?今は大丈夫?怒ってないよね。
じゃあ次はちょっと長いお話。
『たろうのともだち』
コオロギが散歩をしていると、不機嫌なヒヨコに出会います。
挨拶をしても脅かされて、ヒヨコの家来になります。
ヒヨコとコオロギが歩いて行くと、不機嫌なネコに出会います。
ヒヨコが挨拶をしても脅かされて、ヒヨコとコオロギはネコの家来になります。
ネコとヒヨコとコオロギが歩いて行くと、不機嫌なイヌに出会います。
ネコが挨拶をしても脅かされて、ネコとヒヨコとコオロギはイヌの家来になります。
イヌとネコとヒヨコとコオロギが歩いて行くと、ご機嫌なたろうに出会います。
イヌが挨拶をすると・・・
さっきはお父さんやお母さんもみんなケンカしていたけど、今度は子どものケンカのお歌。
最初は赤ちゃん指を出して。
♪子どもと子どもがケンカして
♪薬屋さんが止めたけど
♪中々中々止まらない
♪人たちゃ笑う
♪親たちゃ怒る
♪ブー!
小指から一本ずつ出すのじゃ難しかったね。
じゃあ、今度はパーでパーでやろうか。
パーとパーを出して、
小指から順番にくっつけていきます。
♪子どもと子どもがケンカして
♪薬屋さんが止めたけど
♪中々中々止まらない
♪人たちゃ笑う
♪親たちゃ怒る
♪ブー!
今度はみんな歌に合わせてできました。
ネコさんもカラスさんも仲良く遊んでる。
いっぽくんと、れおくんも仲良く遊んでる・・・
と思ったら、バケツを取り合って、
お互いに手を出して、二人共泣き出しました。
それを見ていたカラスが・・・
今度は、もっと短いお話にしてみようかな。
「えー、それ0・1・2って、妹のじゃない」
そっか。よく知ってるね~。0・1・2って書いてあるね。
この中で、0歳の人?いないね。
1歳の人?一人いるね。
2歳の人?いないね。
3歳の人?あれ、いない?いるよね。
4歳の人?
「は~い。でも昔3歳だったの」
え~。昔3歳だったのか。
先生も昔3歳だったのよ。一緒だね~
「え~、今は?」
今はちょっと過ぎてるけど、一緒よ~
あと手を挙げていないお兄さんは?
5歳かな?じゃない。6歳?今度のお誕生日で?
「7歳!」
「わたしは今度のお誕生日で5歳!」
そっか。先生は今度のお誕生日で・・・?
ご本読もうか。
0・1・2って書いてあるけど、3歳もOK。
4歳も6歳もOKだから。
『だれかいますか』
三階建ての家の前で、クマくんが「だれかいますかー」と声をかけます。
窓が一つ開いて、タヌキさんが「はーい、いますよ。こんにちは」と返事をします。
クマくんは「もっと、だれかいますかー」と声をかけます。
するとドアからカバさんが出てきました。
クマくんは「もっと、だれかいますかー」と声をかけます。
次に出てきたのは・・・
■子どもの時間■
今度は、みんなが「だれかいますかー」って呼んでくれる?
誰がいるかな?
「おーい、誰かいますかー」
誰が出てくるかな?
「あーウサギだ」
そう、ウサギさんでした。
はーい、いますよ。
一緒に遊ぼう!
ドアを開くと、次々とウサギさんが出てきました。
「あれ~」
「五人もいた!」
どれどれ。1、2、3、4、5。
こんなにウサギさん隠れてたんだね~。
みんなで、これを作ってみようか。
「ぼく嫌だー」
え~、嫌ならいいよ。作らなくて。
「作る~」
「作りたいー」
作りたい人は、ウサギとヒヨコがいるから選んでね。
「ヒヨコ、かわい~」
ヒヨコの人は緑のおうち、ウサギの人は黄色か緑のおうち。
ウサギとヒヨコに顔を描いて、おうちには模様を描いてね。
作りたくない人はブロック遊び。
ウサギとヒヨコのおうちができた人は、折り紙で遊びました。
紙飛行機を作って飛ばしたり、船を作ったり。
ヒヨコのおうちは、お部屋の中にもキレイな模様が描けたね。
5羽のヒヨコをおうちに入れたら、クリップでカギをかけて持って帰ってね。
“ともだちや”というのぼりをつけたキツネがやってきます。
「えー、ともだちやです。
ともだちは いりませんか。
さびしいひとは いませんか。
ともだち 1時間100円、
ともだち 2時間200円」
一人の食事はつまらないというクマに頼まれました。
キツネの苦手な苺を一緒に食べて「うまいですね」と言ったり、はちみつを食べたり。
2時間で200円いただきました。
また「ともだちは いりませんか」と言いながら歩いていくと、
「おい、キツネ」とオオカミに呼び止められました。
「トランプの相手をしろ」と言われ、トランプで遊びました。
オオカミが3回勝って、キツネが1回勝ちました。
キツネが「お代を・・・」と言うと、
「お前は友達から金を取るのか。
それが本当の友達か」
オオカミは目を尖らせ、歯をカチカチ鳴らしながら言いました・・・
この一冊で、今日の友達のテーマは言い尽くされた、というお話ですね。
この後、友達になったキツネとオオカミやそのほかの仲間たちとのお話がシリーズで11冊出ています。
言葉もリズミカルで絵もシュールな感じなので、大人が読んでも楽しめます。
(一見乱暴者のオオカミが、実は健気だったりして、ホロリとさせられます)
『ともだちおまじない』は、“おれたち、ともだち!”シリーズの8冊目。
登場人物達の様子を5・7・5のリズムで表現した一冊です。
絵を描いた降矢ななさんのメッセージによると、登場人物達の裏話を表現したかったそうです。
小さな子の親御さんは、幼稚園・保育園や学校で、友達ができるか、仲良くやっていけるか、心配ですよね。
どうやったら友達ができるか、というのも、ゲームのように決まりがあるわけでもないし、子どももそれぞれに性格が違うので、一概にこうしたら良い、という方法はありません。
成長と共に、学校、部活、バイト、仕事関係、趣味の仲間、ママ友など、人生経験を積んでいろいろな付き合いを知るに従って、自分と話や価値観が合う人を見分ける術を身につけていきます。
けれど、幼い子どもの世界は限られています。
そんな子どもの世界を描いた絵本があります。
『コッコさんのともだち』
みんなの中に入っていけず、保育園でいつも一人ぼっちのコッコさん。
先生に「二人ずつ手をつなぎましょう」と言われ、困りました。
でも、もう一人同じような子が。
もじもじしながら、同じ色の服が気になって触っているうちに、手をつなげました。
それからは、いつもいつも二人は一緒。
一緒にいるだけで、とても嬉しくなります。
ところが、今日はちっとも嬉しくありません。
初めてケンカして・・・
ちょっと昭和チックな、かわいいとは言い難い主人公ですが、シリーズで数冊出ている絵本です。
特に何が起きるというわけではありませんが、初めての環境で友達ができるまでの様子が、自然に描かれています。
なかなかお友達ができない子に教訓的に読むのは、わざとらしくて逆効果になります。
何かのきっかけで、さりげなく読んであげたいですね。
新しい環境にも順応し、新しいお友達にも「入れて」と気軽に言える子もいれば、中に入らないでじーっと観察しているだけの子もいます。
新しく覚えたり、しなければならないことに追われ、お母さんがいない寂しさも我慢し、周囲を観察しながら自分のいる場所に慣れることで精一杯の子もいます。
おうちに帰ってきて「今日は誰と何したの?」と聞いた時、「何もしてない」と答えても、心配はいりません。
自分の周りで何が起きて、みんなが何をしているか、などを観察して頭も心もフル活動していても、それを報告できる力が足りないだけです。
お母さんも、仕事から帰ってきたお父さんから「今日何してた?」と聞かれたとして、特別なことがない日常であれば「特に何も」という答えになりますよね。
いつもと違う面白いことや事件があれば、聞かれなくても話したくなるでしょう。
子どもも同じです。話したいことがあれば、自分から話します。
その時に「忙しいから後で」と言ってしまうと、話を聞けるチャンスを逃してしまいます。
それが、中学生や高校生になると、もっと顕著になります。
今から、子どもが話したい時に、いつでもきちんと聞いてあげることが大切ですよ。
最近は、友達申請とかファンミーティングとか、ネットの世界で顔も見たことがない人と“友達”になったりしてますね。
友達とは何か、という定義がますます難しくなっています。
誰からも好かれて、友達がたくさんいて、みんなと仲良くなれて、ケンカもしない、トラブルも起こさない、というのが良い子でしょうか?
トラブルには近寄らない、言いたいことは我慢する、とどこかで無理をしている子もいます。
トラブルから逃げずに、ケンカもしながら、自分とは違ういろいろな人間がいることを学び、付き合い方を身につけていってほしいものです。
友達というテーマとは関係ないような『かぼちゃスープ』という絵本があります。
森の中の家に、ネコとリスと小さなアヒルが住んでいます。
毎晩、庭で取れたカボチャで、世界一おいしいスープを作っています。
ネコがカボチャを切り分け、リスがかき混ぜ、アヒルが塩で味付け。
役目が決まっているから、ケンカは起きません。
ところがある朝、アヒルがリスのかき混ぜ用スプーンを取って「ぼくがスープをかき混ぜる」と言い出します。
「だめだめ」とリスはスプーンを取り上げようとして、跳ね上がったスプーンはネコの頭に命中。
三匹は大喧嘩になりました。
「何もできないなら出てく!」
と言ってアヒルは家を出て行ってしまいます・・・
突然わがままを言い出す小さなアヒルは、トラブルメーカーですが、ネコもリスもかなり寛容に受け入れてあげています。
それが度を越すと、三匹で大喧嘩が始まります。
でも、そばにいなくなると心配し、仲直りし、お互いに譲り合って、平和に幸せな時間を過ごし、またケンカする、の繰返しです。
ケンカはしても、離れられない。
これこそ、親友って言える関係かな、と思えます。
ジェームズとぼくは、いつも仲良しだった。
水疱瘡にも一緒にかかったくらい、仲良しだった。
だけど、ジェームズはいばりたがるし、意地悪もするし、大嫌いさ。
もう絶対友達になってやらない。
ジェームズの家に行って、もう友達になってやらないって言ってやる。
するとジェームズも、もう絶好だ、って言うから、さいならって別れたけど・・・
どんより暗い雨の日。
パパはママに行ってきますのキスを忘れました。
ママは不機嫌になって、ジョナサンに八つ当たり。
ジョナサンはお姉さんのサリーに八つ当たり。
サリーは友達のマージョリーに八つ当たり。
マージョリーは弟のエディに八つ当たり。
エディは犬のパジーに八つ当たり。
でも、パジーはへこたれません。
エディと遊びたくて、飛びついて顔をなめました・・・
この二冊も、仲良しゆえにケンカして、また仲直りする、というお話です。
『あたらしいともだち』は、『すてきな三にんぐみ 』などを書いたトミー・ウンゲラーの絵本です。
人種差別によってよそ者扱いされるラフィとキー。
大工仕事が得意なラフィと縫い物が得意なキーは、二人でいろいろな友達を制作します。
庭に作品を置いておくと、次第に注目を集め始めて・・・
この本を小学四年生に読み聞かせしたのですが、思春期になりかけの子ども達は、幼児とはまったく違う反応があるので面白いですよ。
「最後二人は結婚したの?」などという質問が出たり。
ラフィとキーは、西欧社会で異邦人である別々の有色人種の二人です。
だから、食事などでお互いの文化の違いに興味を持ったりします。
作者には、人種差別や戦争に反対するメッセージを、辛辣でありながらユーモラスに描いた作品がたくさんあります。
子どもの頃から、世界中にはいろいろな人種の人が、いろいろな暮らし方をしていることを絵本で知って、身近に感じてほしいと思います。
『ともだちになって』は、地球に不時着してしまった宇宙人の子どものお話です。
寂しくて友達を探しますが、誰からも相手にされません。
子ども達だけは、一緒に遊んでくれました。
けれど、大人がやってきて離ればなれに・・・
異邦人どころか異質の生物を、受け入れて、一緒に遊んで、別れを惜しんであげる子ども達。
言葉は通じないけれど、そのことを喜び、ずっと忘れない、と思う宇宙人の子ども。
小学生以上の子が読んで、何かを感じ取ってくれると良いな、という絵本です。
パキスタンのアフガニスタンとの国境近くのにあるペシャワールという町の難民キャンプのお話です。
2年間も裸足で過ごしていた10歳のリナは、救援物資の中から黄色いサンダルを片方見つけます。
もう片方を探していると、キャンプにきたばかりに見える女の子がサンダルをはいていました。
リナが挨拶をすると、背を向けて行ってしまいました。
リナは片方のサンダルを大切に履いて、洗濯をしていました。
すると女の子が来て「おばあちゃんが片方だけ履くのは変だって」とサンダルを置いていきます。
リナは、サンダルは二人の物として、毎日交代で履くことを提案します。
「ともだちのしるしだよ」と言って。
それから二人は仲良くなります。
お互いの境遇を話したり、将来の夢を語ったり、男の子しか入れない学校の横で勉強したり。
やがて、リナの一家だけアメリカに移住できることになり・・・
この絵本も、小学生以上でないと難しい内容です。
日本とは別世界の過酷な状況の中にも、子どもがいて、友達ができると楽しくなって、お互いを大切に思えるようになる、ということが感じられます。
難民問題など、ニュースなどでも別世界のこととして聞き流してしまいがちな大人にとっても勉強になり、身近な問題として見直すことができるでしょうし、子どもの健気さに感動もすると思います。
アレクサンダとぜんまいねずみ―ともだちをみつけたねずみのはなし
レオ・レオニの『アレクサンダとぜんまいねずみ』
人間に嫌われているネズミのアレクサンダが、人間の子のお気に入りのぜんまいねずみに出会います。
ねじを巻かれないと動けないけれど、かわいがって大切にされているウィリーです。
お互いの体験を何時間も話したり、仲良く楽しい時間を過ごします。
けれど、暗闇で一人で暮らすアレクサンダは、ウィリーが羨ましくなります。
ウィリーみたいなぜんまいねずみになりたい、と思ったアレクサンダは・・・
小さい頃読むのと、成長してから読むのとでは、感じ方が違うかもしれません。
大人だと「隣の芝生は青いってことだな」と感じるかもしれませんが、子どもは違った感じ方をすると思います。
『せかいいちのおともだち』は、ハムスターのロラのシリーズの6冊目のお話。
シモンは、いつも一緒で、宝探しをしたり、冒険したり、いじめっ子から守ってくれる世界一のお友達。
でもある日、シモンは遠くに引っ越すことになりました。
「日曜日には会いに来る」というので、ロラはひたすら日曜日を楽しみに待ちます。
待ちに待った日曜日。シモンは約束通りやってきました。
宝探しをしたり、おやつを食べたり、楽しい時間はあっという間に過ぎていきます・・・
お友達が遠くへ引越してしまったり、成長して遠距離恋愛をしている子や、単身赴任のご夫婦にもお薦めの絵本です。
小さい子どもは、離ればなれになった当初は淋しい思いをしても、新しい環境に慣れると、案外さっぱりしていて、回復力はたくましいものです。
小学生以上になると、手紙のやり取りなどで長く付き合う場合もあります。
そんな子には、ぜひ読んであげてください。
友達関係の悩みは、子どもだけの問題ではなく、大人になっても続くでしょう。
人間関係に疲れた大人も、時には絵本を読むと、ホッとしたり、感動したり、自分を見つめ直すきっかけになるかもしれません。
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