2012年9月15日(土)2時~4時にキッズ・ブック・スペース【お月さま絵本】を開催しました。
三連休の初日にも関わらず、2歳~小学4年生の子ども達とお父さん、お母さんが参加してくださいました。
■親子の時間■
♪はじまるよ♪の歌をみんなで歌って始まりです。
初めて参加してくれた子も、何度目かの参加で慣れている子ども達と一緒に歌ってくれました。
歌は、何回も歌っているうちに、自分たちから歌ってくれるようになります。
一緒に歌うことで、バラバラで落ち着かない子ども達も、先生に注目できます。
寝ている子がもう一人。
先生の相棒のお猿のモンちゃん。
みんなで♪ととけっこう♪を歌って起こしてあげました。
これも、今までに何度か歌ってきた歌です。
知ってる子は最初から歌えますし、初めての子もすぐに覚えて歌っていました。
大人は、同じ歌ばかりだと飽きてしまうのでは、と思ってしまいます。
けれど、同じ日に何度か繰り返し歌い、別の日にも同じ歌を取り上げることで、子どもにとっては楽しさが増すようです。
次の絵本は『つきよに…』。
「『おつきさまこんばんは』がいい!」という子もいましたが、後でのお楽しみだから待っててね。
間近にいる子ども達と会話をしながら、プログラムは進められます。
『つきよに…』は言葉遊びの絵本です。
つきよに、お坊さんが鐘つきました。
つきよに、うさぎが餅つきました。
つきよに、たぬきがたどりつきました。
つきよに、お餅をぱくつきました。
つきよに、お餅にありつきました。
など、小学生くらいにならないと言葉の面白さは理解できないかもしれません。
でも、リズムの良い同じ言葉の繰り返しは、小さな子でも楽しめます。
先生の指に、さっきの絵本で出てきたキツネさんとタヌキさんが。
キツネさんは遠くから山を一つ、二つ、三つ超えてタヌキさんの家に遊びにきました。
「たんたんタヌキさん、お月さまがまんまるできれいだよ。お外で遊ぼうよ」と誘います。
「今ご飯食べてるから、あ~と~で」
「何のご飯食べてるの?」
「梅干しとたくあんのご飯」
「おいしそうだね。一口ちょうだい!」
「いやだよ。僕のがなくなっちゃうから、あっち行け~」
キツネさんは遠くのお山に飛ばされてしまいました。
でも、飛ばされても、飛ばされても、何度でもキツネさんは遊びにきます。
今のお話はわらべうたです。
♪ひとやまこえて♪
ひとやまこえて、ふたやまこえて
みやまのタヌキさん、たんたんタヌキさん、
あそぼじゃないか、いまはごはんの真っ最中
おかずはなあに、うめぼしこうこ
ひとくちおくれ、いやいやし~ん~ぼ~
最後は、キツネさんがポーンと飛ばされます。
みんなも、手でキツネさんとタヌキさんを作って歌ってみましょう。
キツネは影絵のキツネの形、タヌキは耳を少し丸めましょう。
わらべうたには、言葉が今の子どもにはわからないもの、馴染みのないものもありますが、易しいお話にすると楽しんでもらえます。
梅干しやお香々では、子ども達は欲しがらないかな。
では二回目は、みんなの好きなハンバーグに替えて歌ってみましょう。
今度は、タヌキさんがお月見をしています。
タヌキは、田んぼや畑やいろいろな所からお供えものを拝借してきます。
お米、お芋、お団子、ススキをお供えし、キレイな衣装を着て、お化粧して、お月さまが昇るのを待っています。
昇ってきたお月さまは、タヌキたちを見て笑ってしまいました。
何故でしょう?
タヌキさん達は、お地蔵さんからお団子をもらっていましたが、みんなはおもちからついてみましょう。
♪十五夜さんのもちつき♪
十五夜さんのもちつきは、トーントーン、トッテッタ
トーントーン、トッテッタ、トッテッタ、トッテッタ
おっこねた、おっこねた、おっこねおっこね、おっこねた
二人で向かい合ってやる本格的な手遊びとしては、 小さな子には難しいのですが、一人ずつ手を動かすだけなら簡単にできます。
おもちをついたら、今度は焼いて食べましょう。
♪もちっこやいて♪
もちっこやいて、とっくらきゃしてやいて
しょうゆをつけてたべたら、うまかろう~
おしょうゆを、きなこにしたり、おのりにしたり、みんなが好きなものをつけて食べました。
お待ちかねの『おつきさまこんばんは』です。
おつきさまこんばんは―くつくつあるけのほん4 (福音館 あかちゃんの絵本)
暗い夜に、お月さまが出てきました。
「おつきさまこんばんは」
ところが、雲さんが出てきてお月さまを隠してしまいました。
単純なストーリーは、子ども達に安心感を与えます。
絵の中にも発見があって楽しめます。
■子どもの時間■
子ども達だけ制作コーナーに移動して、みんなでお月見団子を作ります。
いつもは制作にあまり関心のない子も、みんな熱心に紙粘土を丸めていました。
丸いお団子ができたら、楊枝をさして、形を整えて、ボンドで積み重ねます。
お団子ができたら、折り紙で「ぱくぱくキツネ」を作ります。
作り方は一度覚えたら簡単にできます。
眼や口を描いたり、模様を入れたり、かわいいキツネがたくさんできました。
中には、青、緑、黄色、赤、ピンクと五色作り、同じマークを描き込んで、○○レンジャー?という感じで熱心に作っている子もいました。
■大人の時間■
大人の時間は、『待つことの楽しさ』というテーマで、絵本の読み聞かせを交えたお話です。
最初の読み聞かせは、テーマの元となった絵本です。
「夜を見たい」と言うアライグマのぼうやに、「満月の夜まで待ちなさい」とお母さんは言います。
「暗いのを見る!」と言うアライグマのぼうやに、「まだよ、満月の夜まで待ちなさい」とお母さんは毎日言います。
アライグマのぼうやは、毎日「夜」というものに想像を巡らしながら、少しずつ大きくなっていきました。
ぼうやのたくさんの疑問に、歌を歌って答えながら、お母さんは辛抱強く待つことを教えます。
そしていよいよ満月の夜、いろいろ注意を与えてから、「さあ、行っておいで!」と送り出します。
今は、何でも簡単に安く手に入ってしまうので、子どもの欲求のままに日常的に物を与えてしまいがちです。
「欲しい」「やりたい」と言われて、すぐに願いが叶ったものには、思い入れも少なく、すぐに忘れ去られてしまいます。
「まだかな、まだかな」と待ちわびて、願いが叶うまで「どんなだろう」と想像をめぐらせて待ちわびることは、そのこと自体で子どもを成長させますし、願いが叶った時の喜びの大きさも全く違います。
そうして手に入った物や体験は、大切にすることができますし、一生の思い出になったりします。
おやすみなさいおつきさま (評論社の児童図書館・絵本の部屋)
次に、もう一冊のテーマ絵本の読み聞かせです。
緑の部屋のベッドで寝ているウサギの子が、部屋にあるもの一つ一つに「おやすみ」と言っていきます。
「おやすみ、クマさん」
「おやすみ、くつした」
「おやすみ、ほしさん」・・・
ゆったりした気分で、夜寝る前に読んであげたい絵本です。
「オバマ大統領が“人生最初の一冊”とし、また雅子妃が“思い出の宝物”とされている絵本」
という宣伝文句に惹かれて買ってはみたものの、良さが理解できなかったという保護者もいました。
けれど、しっとりと読み聞かせをしてもらい、説明を聞いて、納得されたそうです。
絵本というのは、見たり、目で読んだりしただけでは、本当の良さが理解できないものがたくさんあります。
そんな普段の大人の目では選べない絵本を、実際に読み聞かせをしながらご紹介するのが、キッズ・ブック・スペースの目標でもあります。
昼間のお月さまを写真で紹介した絵本もあります。
夜の明るいお月さまとは違って、淡く姿を現したお月さまが楽しめます。
お月さまを夜のものと思っていて、おばけ同様に怖い、と思っていた女の子も、昼間出ているお月さまを見つけ、夜のものじゃないんだ、と知って怖くなくなったそうです。
幻想的なお月さまや、踊りだしたくなるお月さま、現実的なお月さまと、いろいろな姿を知ってほしいですね。
赤松先生の現在の愛読書兼ネタ本の紹介もありました。
著者の渡辺和子さんは、9歳の時、二・二六事件で父親がすぐ目の前で機関銃で撃たれるという衝撃的な体験をされています。その後18歳で洗礼を受け、20代でシスターとなり、36歳でノートルダム清心学園の学長という重責を担いました。63歳で理事長となり、85歳の現在も学生や教職員の心の支えとなっています。
だからといって、すべてのことに達観しているわけではなく、怒ったり、人間関係に悩んだり、鬱にもなったということで、そんな人間的な部分に共感したそうです。
親が子どもに「本を読みなさい!」といくら言葉で言っても本好きにはなりません。
どんな本でも良いから、親が自分で気に入った本を見つけ、楽しんで読む姿を見せることが、本好きな子どもを作る一番の近道です。
「子どもは、親や教師の言う通りにはならないけれど、する通りにはなる」といわれます。
子どもが成長すると共に「あ~、こう育っちゃったか~」と実感することが多々あります。 真似してほしくないことほど、そっくりになってしまいますから。
でも、まだ間に合いますよ!子どもが小さいうちから、親自身が目指す生き方を実践すれば良いのですから。
お月さまは、元々の丸い形はずっと変わらないのに、太陽の光の当たり方によって見え方が毎日変わります。
同じ子どもでも、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、先生、お友達、お友達のお母さんなど見る人によって見方が変わります。
同じ人でも、見る方の気分によって見え方が変わったりします。
大人の気分によって、子どもへの態度や評価を変えたりしてしまうこともありますが、いつでも「大好きだよ」という気持ちを忘れないで接してあげたいですね。
きつーく叱ることも時には必要です。
でも、「本当は大好きだからね!」とギュッと抱きしめてフォローできるのが、親子の良いところです。
今年は9月30日が十五夜です。
十五夜には、地域によって違いはあるでしょうが、お団子を15個、ススキなどの秋の七草や、里芋やサツマイモ、秋の果物などをお供えします。
おうちによっては月が見えたり見えなかったりするでしょうが、みんなでお団子を作ったり、月の歌を歌ったり、お話をしながら過ごすのは楽しいものです。
子どもの成長と共に、家族みんなで行事を楽しむことも少なくなっていきます。
覚えているかどうかは別として、どんなに小さくても家族で楽しく過ごした時間は記憶の底に残ります。
歌などは、何十年たっても、曲を聞いた時に懐かしい気持ちが甦ります。
子ども達の将来に、行事ごとのあたたかい記憶を残してあげたいものです。
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